更新日: 2023/12/22

MIMO,協調・リレー通信

 送信機から受信機へ信号を送る際,反射や屈折等の影響でチャネルと呼ばれる通信路の環境は変動します.そして,複数の送受信アンテナを用いる多入力多出力 (Multiple-Input Multiple-Output; MIMO) は複数の信号やチャネルが存在するのでダイバーシチ利得を得ることができます.また,受信アンテナにおける信号分離も,例えば,図に示すような逆行列を用いた等化を用いることで実現できます.MIMOは移動体通信方式 (5th Generation; 5G,6th Generation; 6G) や無線LAN (IEEE802.11ax,IEEE802.11be) などの規格にも用いられ,近年は,大多数の送受信アンテナを用いた大規模MIMOが注目されています.
 また,MIMO同様に,協調・リレー通信も有効な技術です.協調・リレー通信は複数の基地局や端末を用いることで仮想的なMIMO環境を実現でき,特に,近年はIoT (Internet of Things) などの大規模接続環境を構築するために,協調・リレー通信はとても重要は技術です.
MIMO 協調・リレー通信

ディジタル変調・アクセス方式

 ディジタル信号を搬送波 (キャリア) に乗せて送信するために,変調技術が必要です.変調技術には多くの種類がありますが,当研究室では主に直交周波数分割多重 (Orthogonal Frequency Division Multiplexing; OFDM) を取り扱います.OFDMは隣り合うサブキャリア間に直交関係を持たせることで,大容量化と周波数の有効利用を実現できます.また,アクセス方式の一種である直交周波数分割多重アクセス (OFDM Access; OFDMA) はOFDM信号を周波数毎に分割することで,複数ユーザを同時に取り扱うことができます.
 OFDMやOFDMAはこれまでに移動体通信 (5G) や無線LAN (IEEE802.11ax),地上ディジタル放送 (DVB-T, ISDB-T) などに採用され,さらには,次世代規格の6GやIEEE802.11beなどでの採用を予定されています.
OFDM OFDMA

誤り訂正符号

 誤り訂正符号は,通信路において生じた誤りを受信側で訂正するための技術です.簡単な例として, 情報源"a"を"aaa"に誤り訂正符号化し"x"に変調して送信し,通信路の影響で,受信信号"y"を復調した結果,"aba"が出力されたとします.この時,"a"が2個,"b"が1個なので"a"が送られた確率が高いと考え,誤り訂正復号化した信号は"a"を出力します.
 誤り訂正符号には畳み込み符号や低密度パリティ検査符号 (Low Density Parity-Check code; LDPC) など多くの種類がありますが,当研究室では移動体通信の5G以降に実装されているポーラ符号を取り扱います.
CDF Polar

ソフトウェア無線

 ソフトウェア無線は,ハードウェア部を変更せず,ソフトウェア部を変更することで様々な無線通信システムを評価するための装置です.当研究室では,Python の他に,Mathwoks社のMatlab とNI社のUSRP 及びLabVIEW Communications を所持しており,無線通信システムのソフトウェア及びハードウェアの両面からの評価を行います.
CDF Polar

機械学習

 機械学習は近年注目を集める人工知能 (Artificial Intelligence; AI) でも取り扱われている技術で,情報通信技術の世界でも6Gなどの次世代に向け研究されています.使用用途は多岐わきにわたりますが,当研究室では,これまで取り組んできた多種多様な通信路チャネルの推定や信号検波を中心に,畳み込みニューラル (Convolutional Neural Network; CNN) などの方法を用いています.
CNN Accuracy

Copyright (C) YUTA IDA